棋力アップのためには、やはり詰碁に取り組むことは欠かせないでしょう。
詰碁本を買おうと本屋に行くと、たくさんの本が置いてあり、どれが自分に合っているのか分からない方もいるかもしれません。
このコラムでは、数ある詰碁本の中からおすすめのものを厳選し、レベル別にご紹介します。
最後に詰碁本の選び方も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
おすすめの詰碁本10選!
初心者、級位者、有段者、高段者に分けて、おすすめの詰碁本を紹介していきます。
初心者におすすめの詰碁本
「初めて詰碁の問題集を買おうと思っている」といった初心者におすすめの2冊を取り上げます。
はじめての詰碁

※出典:Amazon.co.jp
石の生死が分かるようになったらおすすめなのが「はじめての詰碁」です。
対象は「入門〜15級」とされています。
問題を解くことで、二眼の作り方や潰し方を体で覚えるのに役立ちます。
ルールを覚えたばかりの方は、まずこの本から取り組んでみると良いでしょう。
やさしい詰碁

※出典:Amazon.co.jp
「やさしい詰碁」は「はじめての詰碁」と同じシリーズで、やはり初心者におすすめです。
対象は「20級〜10級」です。
問題も少しレベルアップしており、欠け眼かどうかの判断もしっかりできるようになる必要があります。
それでも「はじめての詰碁」をマスターした方ならスムーズに読める内容でしょう。
級位者におすすめの詰碁本
少し詰碁になれてきた級位者におすすめの本を紹介します。
ひと目の詰碁

※出典:Amazon.co.jp
初心者から級位者への橋渡しとしておすすめしたいのが「ひとめの詰碁」です。
シンプルな問題が多く、級位者でも取り組みやすい一冊です。
内容は基礎的ですが、本書の問題をすべてしっかり読み切れるようになれば、詰碁力に関しては有段者目前といえるでしょう。
実践的な内容で読みやすい構成となっており、多くの囲碁愛好家から評判が高いです。
有段者でも詰碁力に自信のない方は、本書でじっくり基礎力を鍛えるのがおすすめです。
第一感の死活

※出典:Amazon.co.jp
「第一感の死活」は、初段を目指す級位者の方におすすめの詰碁・死活問題集です。
失敗しやすい筋も掲載されており、実戦で役立つ知識が自然と身につきます。
文庫判で持ち運びやすく、図も大きく見やすいため、通勤や空き時間の勉強にも最適です。
死活が苦手な方にもおすすめできる一冊です。
筋が良くなる基礎詰碁200

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「筋が良くなる基礎詰碁200」は、「至高の詰碁」でおなじみの郭求真六段による詰碁集です。
レベル1~5の五段階に分かれた200問が収録されています。
筋のきれいな問題が多く、二桁級からでも解ける内容で基礎力強化に最適です。
リンク問題もあり、同じ筋を繰り返し学べる工夫も魅力。
幅広い棋力層が長く使える一冊で、基本の筋をしっかり身につけたい方に強くおすすめです。
有段者にオススメの詰碁本
初段の壁を突破した有段者におすすめの詰碁本は以下の2つです。
- 基本死活 虎の巻
- 初〜七段合格の死活
基本死活 虎の巻

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「基本死活 虎の巻」は実戦に頻出する死活の基本形を集めた一冊で、さまざまな形を学習できます。
これ一冊マスターすれば、有段者〜高段者に必要な基本死活は一通りカバーできるでしょう。
問題が厳選されているため周回しやすく、学習しやすいのもポイント。
複雑な詰碁集に手を出すより、本書を何度も解いて基礎を身につけるのがおすすめです。
注意しなければならないのは「基礎基本=簡単」ではないということです。
中には一合マスのようなやや難解な形も収録されています。
それでも有段者以上を目指すためには必要な知識なので、解説や変化図を何度も読み込んで少しずつ自分のものにしていきましょう。
初〜七段合格の死活

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日本棋院から出版されているシリーズで「初段」「三段」「六段」「七段」の4冊があります。
実戦的な問題が多く収録されており、応用の効く死活の筋を身につけることができるのが特徴。
自分に合ったレベルから取り組んでいき、徐々に死活力を高めていくことができます。
一冊を通して問題の難易度が安定しているため取り組みやすいです。
中にはレベルに応じた古典詰碁も収録されています。
シリーズを通して問題を解き切れば、有名どころの問題は一通り目を通すことができるでしょう。
高段者にオススメの詰碁本
さらなる高みを目指したい高段者におすすめの詰碁本は以下の2つです。
- 基本死活事典
- 前田詰碁(上・下)
- 古典詰碁
基本死活事典

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「基本死活事典」は、張栩九段による基本死活を体系的にまとめた名著です。
特徴はなんといっても網羅性の高さ。
600ページを超える大ボリュームで、死活のエッセンスが余すところなく詰まっています。
プロアマ問わず、本書をおすすめしている人は多いです。
しかし、あまりの厚さに圧倒されてしまう人も多いかもしれません。
問題数の多さから反復学習にはあまり向いていないため、本書はどちらかというと確認用として使用するのがおすすめです。
まず先に紹介した「基本死活 虎の巻」を繰り返し読んで基本死活を身につけ、本書で抜け漏れの確認や応用形の知識をつけていく、といった使い方がよいでしょう。
本書をマスターすれば基本死活で困ることはまず起こらないため、目標として常に手元に置いておきたい一冊です。
前田詰碁(上・下)

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「詰碁の神様」と称された前田陳爾氏の代表作である「前田詰碁」。
昭和時代の名著と言われながらしばらく絶版になっていましたが、2019年に大橋拓文六段の監修で改訂版が出版されました。
上巻は比較的シンプルな問題を中心に344問、下巻はやや難易度の高い230問が収録されています。
実戦的でキレイな筋の問題が多く、高段者の方ならぜひ一度は解いておきたい詰碁集です。
棋力向上に役立つことはもちろん、詰碁の魅力やおもしろさを再確認できることでしょう。
古典詰碁

※出典:Amazon.co.jp
最後におすすめするのは古典詰碁です。
古典詰碁とは、中国や日本で江戸時代以前に編纂された、死活や手筋など局所的な問題をあつめた本の総称です。
具体的には、「玄玄碁経」「官子譜」「碁経衆妙」「発陽論」「死活妙機」の5冊を指すことが多いです。
それぞれ特徴がありますが、どれも死活や手筋を学ぶ上でとても有用で、プロアマ問わず今なお高い評価を受けています。
古典詰碁は全体的に難解なものが多く、読み進めるには高い棋力が求められます。
スタンダードな古典詰碁に取り組みたい方は「玄玄碁経」、基礎的な問題から始めたい方は「碁経衆妙」、最高峰の難易度を体感したい方は「発陽論」がおすすめです。
また古典詰碁には、入門用の本や問題を厳選して現代版にリニューアルされた本なども出版されているので、ぜひお手に取ってみてください。
詰碁本の選ぶ3つのポイント
詰碁集は自分に合ったものを選ぶのが一番重要です。
以下の3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 取り組みやすいレベルのものを選ぶ
- 難易度のばらつきが少ないものを選ぶ
- デザインの好みで選ぶ
取り組みやすいレベルのものを選ぶ
まずは取り組みやすいレベルのものから始めましょう。
少し簡単に感じる問題を速く正確に解く訓練をすると、実戦でも役立ちやすいです。
また、難しい問題集を選んでしまうと、挫折したり詰碁そのものがイヤになったりする恐れがあります。
パラパラと読んで、ちょっと考えたらわかるくらいのレベルがおすすめです。
難易度のばらつきが少ないものを選ぶ
収録されている問題の難易度も確認するとよいでしょう。
詰碁集には、一冊の中でクラス分けされていて、幅広いレベルの問題が収録されているものもあります。
一冊でさまざまなレベルの問題を解きたい人には合っていますが、基本的には難易度が統一されている方が解きやすく感じるでしょう。
まずは初級の問題集を何度も読み、どの問題も解けるようになったら中級、上級とレベルを上げていくとステップアップしやすいです。
上記で紹介した本は基本的に難易度のばらつきが少ないものを厳選しているので、参考にしてみてください。
デザインの好みで選ぶ
本のデザインも重要です。
ものによって図の位置が違ったり、1ページに複数問が掲載されていたりします。
こういったデザインも含めて、自分に合うか確認しましょう。
読みにくいと感じる本はモチベーションが下がる原因になりかねないので、できれば試し読みをして確認してみてください。
自分に合った詰碁本で棋力アップを目指そう!
詰碁は囲碁の基礎力を高める上で欠かせないトレーニングです。
本コラムでは、初心者から高段者まで、それぞれのレベルに合わせたおすすめの詰碁本をご紹介しました。
自分に合った一冊を見つけて繰り返し取り組むことで、読む力や死活力が自然と身についていきます。
まずは無理のないレベルから初めて、徐々にステップアップしていくのが上達への近道です。
お気に入りの詰碁本を見つけて、楽しみながら棋力アップを目指しましょう。
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