篝火プロジェクトCo-Founder&Director
山中 寛男
──囲碁を始めたきっかけは?
父方の祖父母の家に、碁盤と将棋盤が置いてありました。小さい頃、一度だけ祖父に囲碁のルールを教わったことがあるのですが、それきり長らく囲碁には触れていませんでした。そのまま高校時代まで過ごし、本格的に囲碁を始めたのは大学生になってからです。
一人暮らしを始めたころ、ちょうど『ヒカルの碁』が流行していて、何気なくYahoo Goのサイトを開いたのがきっかけでした。当時のYahoo Goはとても活気があって、固定ハンドルネームを持つ強い方々が、初心者にも親切に教えてくれる文化がありました。
初段に近づく頃には、実際に近所の碁会所に通い始め、教えてもらいながら碁を打つ日々を過ごすようになりました。そうしているうちに、すっかり囲碁の魅力に引き込まれてしまったんです。
──囲碁のどんなところに魅力を感じていますか?
囲碁の魅力は、一言でいえば圧倒的な創造性にあると思います。
19×19の碁盤の上に、互いに一つずつ石を置いていく。それだけのシンプルな営みから生まれる局面は、宇宙が始まって以来、二つとない唯一無二のものです。
いまだAIですら完全には解き明かせない、囲碁というゲームの真理。その深淵を覗きにいく終わりなき旅は、決してプロだけのものではありません。すべての囲碁を楽しむ人に開かれた、豊かでかけがえのない体験です。
さらに囲碁は、進行に必要なルールが驚くほど少なく、また文化的な背景がゲーム自体にあまり影響していません。だからこそ、どの文化圏・言語圏の人にも親しまれやすく、まさに世界共通語のようなゲームだと思います。